2025年12月04日 更新
離婚後の子の養育に関する民法等改正(共同親権等)について
2024(令和6)年5月17日、父母が離婚した後のごどもの利益を確保するため、民法等の一部を改正する法律が成立しました。
この法改正では、父母が離婚した後もこどもの利益を確保することを目的として、こどもを養育する親の責務を明確化するとともに、親権・監護、養育費、親子交流等に関する規定を見直すもので、2026(令和8)年4月1日に施行されます。
主な改正内容
1.親の責務に関するルールの明確化
こどもの人格の尊重
こどもの心身の健全な発達を図るため、こどもを養育する責任があります。こどもの意見をよく聞き、人権を尊重しなければなりません。
こどもの扶養
父母は、親権や婚姻関係の有無にかかわらず、こどもを扶養する責任があります。こどもが親と同じくらいの生活を送れるようでなければなりません。
父母間の人権尊重・協力義務
こどもの利益のため、お互いに人権を尊重し協力しなければなりません。
次のような行為は、この義務に違反する場合があります。
・父母の一方から他方への暴行など
・別居親が、同居親による日常的な監護に、不当に干渉すること
・父母の一方が、特別な理由なく他方に無断でこどもを転居させること
・取決めがされたにもかかわらず、親子交流の実施を拒むこと など
こどもの利益のための親権行使
親権は、こどもの利益のために行使しなければなりません。
2.親権に関するルールの見直し
(1)父母の離婚後の親権者
父母の離婚後の親権者の定めの選択肢が広がり、離婚後の父母双方を親権者と定めることができるようになります。
(2)親権の行使方法(父母双方が親権者である場合)
父母双方が親権者である場合の親権の行使方法のルールが明確化されています。
① 親権は、父母が共同して行います。ただし、父母の一方が親権を行うことができないときは、他方が行います。
② 次のような場合は、親権の単独行使ができます。
・監護教育に関する日常の行為をするとき
日常の行為に当たる例:食事や服装の決定、短時間の観光目的での旅行、予防接種や習い事など
日常の行為に当たらない例:こどもの転居や進学先の決定(進学せず就職するなどの判断を含む)、心身に重大な影響を与える医療行為の決定や財産の管理(預金口座の開設など)など
・こどもの利益のため急迫の事情があるとき
DVや虐待からの避難(転居を含む)する必要がある場合、こどもに緊急の医療行為を受けさせる必要がある場合など
③ 特定の事項について、家庭裁判所の手続で親権行使者を定めることができます。
父母が共同して親権を行うべき特定の事項について、父母の意見が対立するときは、家庭裁判所が父母の一方を当該事項に係る親権行使者に指定することができます。親権行使者は、その事項について、単独で親権を行うことがでます。
※改正前は、①のみが規定されており、②と③については規定がありませんでした。
(3)監護についての定め
父母の離婚後のこどもの監護に関するルールが明確化されています。
3.養育費の支払確保に向けた見直し
合意の実効性の向上
養育費の取決めに際に父母間で作成した文書に基づいて、支払が行われなかった場合、財産の差押えの手続を申し立てることができるようになります。
法定養育費
離婚時に養育費の取決めをしていなくても、こどもの監護を主として行う父母は、他方に対して、一定額の「法定養育費」を請求することができるようになります。法廷養育費の額は、今後、法務省令で定められる予定です。
※ 法廷養育費は、あくまでも養育費の取決めをするまでの暫定的・補充的なものです。
裁判手続の利便性向上
養育費に関する裁判手続をスムーズに進めるために、家庭裁判所が当事者に対して収入情報の開示を命じることができることとしています。
養育費を請求するための民事執行の手続においては、地方裁判所に対する1回の申立てで
(1)財産開示手続:養育費の支払義務者は、その保有する財産を開示しなければならない
(2)情報提供命令:市区町村に対し、養育費の支払義務者の給与情報の提供を命じる
(3)債権差押命令:判明した給与債権を差し押さえる
という一連の手続を申請することができるようになります。
4.安全・安心な親子交流の実現に向けた見直し
親子交流の試行的実施
家庭裁判所の手続中に親子交流を試行的に行うことができます。家庭裁判所は、調停・審判において、こどもの利益を最優先に考慮して親子交流の定めをします。その際には、適切な親子交流を実現するため、資料を収集して調査をしたり、父母との間で様々な調整をします。
婚姻中別居の場合の親子交流
こどもの利益を最優先に考慮し、父母の協議により定め、協議が成立しない場合は家庭裁判所の審判等により定められます。
父母以外の親族とこどもの交流
こどもの利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族とこどもとの交流を実施するよう定めることができます。
5.財産分与に関するルールの見直し
・財産分与の請求期間が2年から5年に伸長されています。
・財産分与において考慮すべき要素が明確化されています。
・財産分与に関する裁判手続の利便性が向上します。
6.養子縁組に関するルールの見直し
・養子縁組がされた後に、誰が親権者になるかが明確化されています。
・養子縁組についての父母の意見対立を調整する裁判手続が新設されています。
詳細については、法務省ホームページをご覧ください。
法務省ホームページ「民法等の一部を改正する法律(父母の離婚後等の子の養育に関する見直し)について」(外部サイトへリンク)
お問い合わせ
福祉保健部 健康・こども未来課
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